三菱一号館美術館で行われていた「芳幾・芳年」(落合芳幾・月岡芳年)展を観てきました。この二人は展示会のサブタイトルにもあるように、歌川国芳門下の兄弟弟子(芳幾が上)です。しかし私は月岡芳年はもちろん知っていましたが、落合芳幾の方は意識してその作品を観たのは初めてです。展示会での説明では、国芳は芳幾のことを「器用だが覇気がない」、逆に芳年の方は「器用ではないが覇気がある」と評していたそうです。二人の画風は同門ですから当然似ていますし、二人による共作もありますが、明治の御代になると。差が付いて芳年は「最後の浮世絵師」と評価され、大勢の弟子も持ちますが、芳幾は新聞など色々なことに手を出した結果晩年は落ちぶれます。まあ典型的な器用貧乏でしょうか。
展示会自体は国芳の作品もあり楽しめましたが、ただ一つ不満は芳年でもっとも有名な「奥州安達がはらひとつ家の図」が無かったことです。それだけでなく、全体に「ブラッディー芳年」という面は抑えた展示だったように思います。確かに芳年はブラッディーだけの人ではありませんが、やはりその面も観たかったと思います。