梶山力訳・安藤英治編の「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」

先日たまたまですが、この写真の「梶山力訳 プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」が世に(再度)出た経緯を折原浩先生にお聞きしました。それで、以下のAmazonのレビューを追加しました。
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この本は、マックス・ウェーバーの名著「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」を昭和13年に日本で初めて日本語訳を行った梶山力(かじやま・つとむ、旧姓田中)の業績および名訳と言われた内容を長く今後に残そうとして、ウェーバー研究者の故安藤英治氏が企画されたものです。最初に出た日本語訳では、梶山力が本文を訳すのに消耗し、第二章を中心として訳注が未訳のままとなっていました。(梶山力は病気のため32歳の若さで亡くなっています。)戦後になって、梶山と同窓だった故大塚久雄がこの注釈の部分の訳を追加し、最終的には昭和32年に岩波文庫から「梶山力・大塚久雄訳」として出版されました。(私が大学生の時に読んでいたのはこの版です。)ところが、大塚久雄は昭和63年にさらに改訂したものを「大塚新訳」として出し、梶山力が訳した部分にも自分が大幅に手を入れたから、という理由で、梶山力の名前を削ってしまいます。この大塚の行為に対し、義憤を感じたのが故安藤英治氏で、初訳者梶山力の名前を長く残すために、本書を企画されました。梶山力が訳すことが出来なかった注釈部分は全て安藤氏が訳を追加しています。さらに、単なる初訳の復刻ではなく、付加価値をつけるために、最初にこの論文が発表された1904年、05年版と、その後著者によって大幅に改訂が施された1920年版の差分が容易に判別できるようになっており、ウェーバーの研究者にとっては実に魅力的なものとなっています。さらには1906年に発表された、この論文と関連する「アメリカ合衆国における”教会”と”ゼクテ”」が付加され、さらに価値を高めています。扉の所に、「わが国におけるウェーバー研究の礎石を据えられし先達にいま後進が微力を贈る」という安藤氏の言葉が掲げられています。今はこの論文の日本語訳は、中山元氏によるものも出ていますが、初訳の価値は永遠に無くなることはないと思います。

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