8月12日のNHK杯戦の囲碁(旅行中だったので録画で視聴しました)は、黒番が今村俊也9段、白番が張栩9段の対戦です。布石は最近では珍しく4隅が全部星打ちです。右上隅で白がかかって黒が一間にはさみ、白が三々に入ってという定石で、黒は白のハネツギに対し普通は継ぐ所を、2線に這って受けました。このため、黒が下辺を構えた後、白が左上隅からかかっている黒にコスミツケて立たせた後、上辺に打ち込んでいきました。白の狙いは黒が継がなかった所の切りです。この切りは黒からすれば継ぎはダメなので継ぎたくなく、結局白が切ることになりました。この結果切り離れた黒が攻められましたが、ここで黒が包囲している白にツケコシで切りを入れたのが良く、黒は1子を犠牲にして絞り、下辺の構えと合わせて黒模様になり、黒が優勢の打ち回しでした。白は7の十五に臨んで黒模様を消しに行きました。黒はこの白石を左辺から切り離し攻めに回りました。この白石の一団が中央に飛んだとき、黒は今度は上辺から延びる白を攻める手を打ち、この2つの白の一団を分断して攻める体制になりました。黒はその後、左下隅に利かした後、下辺から延びる白の一団の二間トビの間をかなり強引に切断に行きました。しかし強引ながらこの打ち方は成功し、黒は白2子を取り込みました。ここの戦いが一段落した後、白が左辺で取られている白2子の動き出しを見て利かしに行ったのが問題で、黒は上に一間飛びで連絡し、この黒石が来たため白の上辺の石が危なくなりました。ここで白は下辺の白に手を入れてこの石を安定させました。しかし上辺の白は黒が正しく打てば死んでいました。しかし手順前後で白が活きてしまいました。とはいうものの、劫で白3子を取る手が残り、まだ黒が悪くない形勢でした。その後白は右下隅に手を付けて行きましたが、黒は全てを取る打ち方をしました。これに対し、白は隅の一団を直接活きに行かず、右辺から黒地に侵入し、この隅の一団に連絡するぞ、という手を打ち、黒に手を入れさせ、さらに一間飛びで黒地を減らしました。結果的にこの打ち方が効果的で、白が若干ながら優勢に変わったようです。その後のヨセで、黒は足らないと見て、白3子取りの劫を決行しました。しかしながら劫立ては白の方が多く、黒がここで投了しました。今村9段としては惜しい敗戦でした。