本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が高尾紳路9段、白番が余正麒8段の対戦です。高尾9段はこれまで余8段に1勝9敗と、苦手にしています。布石は黒が右辺と左辺に模様を張り、白が上辺と下辺に地を確保するという展開になりました。白は右辺に打ち込みましたが2手打っただけで他に転じ、その後左辺に打ち込んで行きました。その折衝で白は黒2子を取って下辺が盛り上がり、黒は左辺で白2子を取ってなお上方の白への攻めを見ていました。黒は白の下辺の盛り上がりを抑制するため、右辺から延びる黒からケイマにかけたのを、白は短兵急にツケコシて切って行きました。この後の折衝にて、白は下辺を受ける前に右辺の黒にノゾキを打ちましたが、黒は受けずに下辺を打ち、白は右辺を連打しましたが、下辺が荒らされただけではなく、結局右下隅の白が全部取られ、ここに40目弱の黒地が出来ました。代償で白は右辺の黒4子を取りましたが、中央から何手も締め付けられてしまい、この収支ははっきり黒良し、でした。形勢は盤面10目ぐらいの黒のリードで、白はその後左辺の黒を攻め、1線を渡らせるなど追い込みを図りましたが、差は縮まらず、結局黒の4目半勝ちに終わりました。来週は一力遼9段と高尾紳路9段の決勝戦です。意外にも高尾9段はNHK杯戦の決勝は初進出です。今期、許家元9段、井山裕太5冠、そして今日の余正麒8段と実にいいメンバーを破って平成四天王はまだまだ現役バリバリだという意地を見せてくれています。決勝の相手の一力遼9段とは2020年にもNHK杯戦で当たり、その時は激戦の末一力遼9段が勝ちましたが、さて今年はどうなるか楽しみです。