角田喜久雄の「妖棋伝」

角田喜久雄の「妖棋伝」を読了。徳川家秘蔵の将棋の駒「山彦」の内、銀4枚が偽物であり、失われた本物の山彦の銀将には秘められた謎が…ということで、髑髏銭とも共通して、この謎を誰が解いてお宝を得るかという、伝奇小説としては王道であるお宝の争奪戦が話の中心になります。主人公は武尊流縄術の名人である武尊守人ですが、この主人公が何故かぱっとしなくて、仙殊院という一種の妖婦の罠にあっさりかかり、媚薬を大量に飲まされてほとんど死にかかるなど、いい所がありません。それに対し、与力の赤地源太郎が逆に知恵もあり、武にも秀でていてという感じでこちらが大活躍します。しかし最後にあっと言わせる展開があり、ミステリー的な意味で良く出来た作品だと思います。角田喜久雄としては最初期の作品になります。

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