出井康博の「ルポ ニッポン絶望工場」を読了。移民に関する本の6冊目。この本は長年の取材により書かれた良書です。この筆者は日本が巨大なブラック企業と化して、留学生と技能実習生を食い物にしている実態を的確に暴き出します。この筆者によれば、今仮に日本が移民の受け入れの方針に転換したとしても、既に遅く質の高い移民が日本に喜んでやってくることなどあり得ず、日本人が日本が良かった時代の感覚が抜けていない「上から目線」の議論だとばっさり斬り捨てます。また留学生達の悲惨な労働状況を大新聞が何故取り上げないかの理由が震撼させるもので、要は新聞の宅配がいまやそうした留学生の違法な労働(留学生の労働は週28時間までに制限されていますが、実質的にまったく守られていません)に支えられているから、ということです。
ともかく、留学生も技能実習生も、建前と本音の解離がひどすぎ、日本の最悪な所が実に良く出ています。中国からの出稼ぎは中国での平均賃金が上がると激減し、外国人介護士の受け入れはまったく機能しておらず、かつて多数いた日系ブラジル人の日本への定住はほとんど実現せず、この筆者は本当に使い捨てられたのは日本そのものではないかと指摘します。日本の未来というのは本当に暗いです。