小林信彦の「イエスタデイ・ワンス・モアPart2 ミート・ザ・ビートルズ」を再読。前作の「イエスタデイ・ワンス・モア」の最後で、1959年にタイムスリップした主人公は、結局1959年に留まることを選択しますが、そのすぐ後の話になります。今年は丁度ビートルズ来日から50年になりますが、主人公は1959年から、タイムパトロールの力で1966年のビートルズ来日時に再度タイムスリップします。主人公の父親があろうことか、ポール・マッカートニーを暗殺するという陰謀に巻き込まれており、それを阻止するためです。
主人公は、最後の所で意外な行動を取りますが、それは物語の前半の伏線部で気がつきました。再読ですが、前に読んだ内容はほとんど忘れていました。
ポール・マッカートニーの暗殺阻止という主人公の行動よりも、ビートルズ来日を巡る日本国内の大騒ぎの方が興味深いです。1966年の段階では、ビートルズはもうその地位をすっかり固めていた筈ですが、日本国内での偏見の大きさに驚きます。また、海外ミュージシャンが日本公演を行う時の聖地になっている武道館が、海外ミュージシャンの使用がこのビートルズ来日公演に始まるというのも驚きです。
なお、この小説が発表された時、音楽評論家松村雄策が当時の事実関係に誤りがあるとして、何点か指摘しましたが、私の目から見ると、きわめて些末で重箱の隅をつつくものであり、なおかつ指摘自体誤っているものも含まれており、実に馬鹿げていると思います。
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