NHK杯戦囲碁 苑田勇一9段 対 富士田明彦7段

本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が「西の宇宙流」で有名な苑田勇一9段、白番が富士田明彦7段の対戦です。富士田7段は昨年度全棋士の中で勝率1位という華々しい活躍をしましたが、なんと今回が初出場です。この碁のポイントは右上隅で星の黒が白に両ガカリされ、一方にツケノビた後、白が隅に延び込んで来たのに押さえず、もう一方の白に付けていき、白がまた隅に延び込んでというまったく見たことがない展開になったということです。その後の折衝で黒は上辺の白に切り込みを入れ、2子にして捨て、その利きで右辺を上手く処理しようとしました。しかし白はそれに反発し、当たりに受けずに逆に黒1子を当て返しました。この結果、お互いの抜き抜きの振りかわりになりました。白は黒の想定図は外しましたが、黒が厚く黒の悪くない結果でした。その後黒は右辺の白を劫で切断する手を見ながら攻めることにより、気がつけば中央に30目以上の黒模様が出来、「西の宇宙流」の面目躍如の展開になりました。ここまでは黒が優勢でしたが、ヨセで緩みが出て、白に追い上げられました。特に左下隅で這いを打って活きを確保する手を打たなかったのは問題で、逆に白から押さえを打たれた結果、単独では活きがなく、中央に連絡する必要があり、白から色々利かされ、白の下辺の地が大きくまとまる結果となりました。それでもまだ形勢は細かかったですが、白は右下隅の効を頑張り抜いて黒に謝らせたのが大きく、おそらくここで逆転したのではないかと思います。終わってみれば、白の2目半勝ちでした。富士田7段は今期のダークホースになりそうな気がします。

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