最近、ずっとシューベルトの「冬の旅」を聴いています。「冬の旅」のコレクションは現時点で70数枚になっています。ブラームスの交響曲1番の収集の時みたいなカタログ征服、的な気持ちはありませんが、今でも新譜が出ているとつい買ってしまいます。
このハンス・ホッターとコンラート・リヒターの冬の旅は、1982年のホーエネムスでのシューベルティアーデでのライブです。実にホッターはこの時73歳でした。このライブはリアルタイムではないですが、NHKのFMで放送されました。丁度その時実家に帰省中でやむを得ずモノーラルのラジカセでエアチェック(今の若い人、この言葉通じないですね。要するに放送をカセットテープで録音することをこう言いました)したものを何度も聴きました。このCDは20年前くらいに出た海賊版のCD-Rです。
この時のホッターは、最初の曲の「おやすみ」の第3節でメロディーを間違える(1節、2節と違うのに同じに歌った)など、非常にハラハラさせる立ち上がりでした。しかし曲が進むに連れ、落ち着きを取り戻し、これ以上無いくらい迫力と悲壮感の漂う冬の旅を聴かせてくれました。ホッターはその生涯で冬の旅を120回以上歌ったそうですが、この時のライブは長く歴史に残すべきものと思います。