小林信彦の「秘密指令オヨヨ」を再読了。前作の「合言葉はオヨヨ」と同じく週刊朝日に連載されたもので、海外の観光地を舞台にするのも同じですが、今回はヨーロッパの各地(+カサブランカ)が舞台になっています。前作から登場した香港警察の楊警部補が狂言回しを勤めます。
お話しは、ナチスに協力したとして戦後糾弾されたイタリア人喜劇監督のジャコモが、実はナチスの幹部を映像に残して彼らを糾弾するつもりだったとして、そのシーンが映った行方不明のフィルムを巡る話に、ナチスが隠したヨーロッパの名画を巡って、オデッサ(ナチス支援組織)やオヨヨ組織が争う話がからみます。フレデリック・フォーサイスの「オデッサ・ファイル」が出版される前に書かれていますので、この時点で「オデッサ」に着目したのはさすがと思います。
表紙の絵の藤純子は本筋とは無関係ですが、パリのシネマテークの人間が、ジャコモのフィルムを貸す代わりに、「緋牡丹博徒・お竜参上」を欲しがるというのがあるので、こうなっています。
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