週刊文春に連載中の百田尚樹の「幻庵」がようやくクライマックスに近づいています。幻庵因碩のライバル本因坊丈和は、幻庵と戦わずして名人碁所になります。名人碁所になるとお止め碁と称して、将軍家の許可がないと争い碁は自由に打つことができなくなり、幻庵は実力で丈和を名人碁所から引きずり降ろすことができません。そうこうしている内に、碁好きの老中松平頼母が、自分の家で碁会を開くことにし、お止め碁になっている丈和にもここで対局するよう命じます。幻庵因碩は最初は自分が打つつもりでしたが、事前に弟子の赤星因徹と何局か対局し、四連敗して因徹が非常に力をつけていることを知ります。それで丈和とは自分が打つのではなく、赤星因徹に打たせることにします。因徹は丈和と対局し、序盤「井門の秘手」という、かつて井上家で研究していた大斜定石の新しい手を打って一度は優勢になります。しかしながら、丈和は中盤で「三妙手」と後世呼ばれた三つの手を打ち、形勢を逆転します。それでも因徹は粘って対局を続けますが、結核を患っていた因徹はついに投了した後、血を吐いて倒れます。因徹はこの二ヶ月後に亡くなります。これが有名な「天保吐血の局」です。こうして丈和は因碩のもくろみを退け、名人碁所の地位を保つことに成功します。
と、これからこういう話になります。