「ペンギン・ハイウェイ」を観て来ました。なかなか良かったです。主人公が小学4年生の少年のせいか、子供連れの客が多かったですが、ちょっと子供には難しいのではないかと思います。原作は森見登美彦です。私は森見登美彦の小説は全部読んでいるので、この小説も2010年に出た時に読んでいます。その時は森見登美彦もちょっと新しい方向を模索しているな、という感じで、ストーリーもほとんど覚えていません。なので映画で原作とどこが変わっているかは分かりません。印象的なのは主人公の少年が全くの不条理な現象に対しとことん「科学的」アプローチを貫こうとしている所で、また少年のお父さんがいわゆるヒューリスティックス(エウレカ)的な問題解決のアドバイスを与えたりしてなかなか格好いいです。この辺り京都大学農学部出身の森見登美彦自体の少年時代がおそらく反映されているのでしょう。しかし森見ワールドと言うのはそういう合理的・科学的な世界と幻想的な非合理的世界が境界が曖昧なままミックスされていることで、日本の高度なアニメ技術はその辺りをうまく表現していました。またアニメそのものはCGだけに頼らず、かなりの部分手描きが行われていたのだと思います。実際にクレジットにはかなりの数のアニメーターが参加していたようで、タツノコプロの名前も見えました。このアニメはまた少年のVITA SEXUALISでもあります。結構あの年頃って年上の女性に憧れたりしますが、その辺りが上手く描かれ、その少年が好きで「お姉さん」に嫉妬する同じクラスの女性もいかにもありそうな感じで良かったです。