スピリタスは消毒薬に使えないか?

スピリタスと言うポーランドのウォッカがあって、そのアルコール度数は96%で、世界で一番度数が高い酒として有名です。とても危険なお酒でストレートで飲んだりしたらひっくり返る可能性大です。ポーランドでは、果実酒を作る時のベースとかカクテル用に使っていて、ストレートで飲む人はほとんどいません。
その消毒液、何用ですか?新型コロナ対策で知っておきたい、正しい「消毒」の作法」というWeb記事で、小橋元教授なる人がこのスピリタスを消毒薬として使うことについて、「飲料用アルコールには香気成分と呼ばれるお酒独特の風味を出す成分や、糖分などが微量に含まれています。ですからこれをそのまま消毒用として使うとべたべたしたり、それを栄養にしてほかの細菌やカビなどが増殖することもありえます」などと言っています。これは大笑いのコメントで、この人はスピリタスというお酒を知らないようです。いわゆる乙類焼酎などには芋焼酎みたいに原料の風味が残っているものがあったり、またジンではジュニパーベリーという香味成分を加えています。また韓国の真露みたいな焼酎には砂糖が混ぜられている場合があります。しかし、スピリタスは、
(1)70回も蒸留を繰り返して96%というエタノール濃度を出しています。香気成分などもし入れていたとしてもこの過程で全部飛んでしまいますので無意味です。残った4%は単なる水です。通常の蒸留だと96%が限界で、何故ならエチルアルコールと水が共沸という現象を起こして一部が同じ温度で沸騰するので、蒸留では完全に水とエチルアルコールを分離出来ないんです。これ以上エチルアルコール濃度を上げるときはアセトンなどのさらに沸点が違う液体を混ぜて蒸留します。(ちなみに消毒用のエタノールも多くはサトウキビの絞りカスなどを使って醗酵させたものを蒸留して作られます。化学的な合成で作る方法もありますが、量的には蒸留で作られている方が多いみたいです。)
(2)直接飲む人もいない訳じゃないですが、上記したようにカクテルとか果実酒用であり、飲み口を良くするために砂糖を入れたりなんかしていません。というかストレートで口に入れるとその瞬間に舌が焼き付くような感じになりますので、砂糖などおおよそ無意味です。またこれで何かを拭いて乾いた後がべたついたりもしません。
といったお酒です。
ですので、手軽な消毒薬として使えます。ただ96%という濃度は高すぎるので、精製水で割って75%ぐらいの濃度にして用いればいいと思います。実際にポーランドでは家庭で消毒剤としても使うためにストックされているみたいです。
ただ、今同じことを考える人が沢山いて、500mlが一本4,000円以上しています。ここまでお金を払うんだったら、いくら品不足であっても普通のエタノールが買えます。なのでその意味でスピリタスを買う意味無いです。
私が買ったのはまあ消毒剤として使えるかテスト用と、残ったらカクテル用にでもしようと思ったものです。

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