本日のNHK杯戦囲碁は、黒番が一力遼棋聖、白番が関航太郎天元の対戦で、決勝戦でした。結果は白の関航太郎天元の半目勝ちとなり、2回目の出場で初優勝を飾りました。一方、一力遼棋聖の3連覇はなりませんでした。この棋戦、今後の碁界の動向を占うものとして注目していました。一力遼棋聖はつい先日、芝野虎丸名人の挑戦を退けて棋聖を防衛したばかりで、勝てば文字通り碁界の第一人者として君臨出来たと思います。一方で関航太郎天元が勝てば、今後の碁界は本当の意味での戦国時代、群雄割拠になると思いました。結果として関航太郎天元が勝ったので、もう令和三羽烏という言い方ではなく、関航太郎天元も入れて令和四天王と呼ばないと失礼だと思います。その証拠に、この今回のNHK杯戦で、伊田篤史9段と令和三羽烏の三人を全員破っているのですから。
碁の内容は、一力遼棋聖が左上を捨てて打ったのが大胆な構想でしたが、狙ってそうしたというより苦し紛れにそうさせられた、という感じがしました。関天元の碁は、部分的な読みが優れているというより、大局観が素晴らしくて序盤・中盤で早々とリードを奪い、それを守って勝つ、というのはちょっと全盛期の呉清源さんを思い出させます。AIソムリエと呼ばれているそうですが、本当の意味でAIによって強くなった棋士の時代が来たのだと思います。一方一力遼棋聖は、終始苦しい碁でしたが、それを半目差まで追い上げた力強さはやはり見事でした。終盤下辺で逆転する筋があったのですが、時間が無い中それを見落としたのは残念でした。