宮内洋主演の快傑ズバット、これまで何本かは観ていますが、DVD3巻を買って全話観ました。このドラマはほぼ半分がテンプレート化されていて、
(1)ある町で暴力組織のメンバーが悪いことをしている
(2)宮内洋演じる私立探偵の早川健がギターを弾きながら登場(小林旭の「渡り鳥シリーズ」のパロディー)
(3)早川が悪の組織の下っ端をやっつける
(4)暴力組織の用心棒が登場
(5)早川がその用心棒の特技(ナイフ投げ、吹き矢、トマホーク、弓、手裏剣投げ等々)を「日本じゃ2番目だ」と否定し、自分が1番と主張して、用心棒との腕比べになる。
(6)早川が勝って暴力組織は一旦退散。
(7)その後また暴力組織と早川の戦いになるが、多くは人質を取られるなどして早川がピンチに陥る。
(8)突然ズバットがズバッカーに乗って登場。(変身シーン無し)
(9)ズバットが用心棒と暴力組織の首領を倒した後、首領に対して「飛鳥五郎(ドラマの冒頭で悪の組織に殺された早川の親友)を殺したのはお前だな!」と問い詰める。
(10)首領がそれを否定し、ズバットが「また違った...」とつぶやく。
(11)早川がその町を去って行く。
観ていると、テレビ東京(当時東京12チャンネル)ということもありますが、低予算でズバットスーツは単なるラテックス製と思われるスーツで変身シーンも早川がそれを装着するだけ(頭部以外は装着シーンの画面無し、その頭部も閉めた時隙間が出来て工作精度低いです…)ですし、ズバッカーに至っては明らかにバロム・1のマッハロッドの再利用です。(ベースはどちらもダットサン フェアレディ 1500 SP310です。フェンダーの形状は違いますが、それはFRPの外付けパーツでしょう。)
でも、低予算のしょぼい特撮を宮内洋のあまりにも熱い演技が全てをふっとばして楽しめるドラマとなっています。宮内洋は「変身しないで戦いたかった」と言っていたそうですが、実際に早川健はそのままでほとんどの武芸で日本一で用心棒にも勝っているのですから、そもそも変身する必要性がまったくないです。また暴力組織の用心棒は単なる人間で怪人でもロボットでもありませんから、その意味でもズバットへの変身は不要です。(それなのに、ズバットの能力設定はジャンプ400m{仮面ライダー1号の27倍!}とか走る速度マッハ7{走ったらソニックブームが発生します、大体ズバッカー=時速350Kmは不要}とかになっていて笑えます。)
このズバット、オモチャのズバッカーがまったく売れなかった(そりゃそうでしょう、単なる乗り物に過ぎず武器もありませんし、そもそもマッハロッドのパチモン感が漂ってます)ため、途中でスポンサーのタカトクが降りて、32話(2.5クール)で打ち切りになっています。そのためか最終31、32話は無理矢理感が強く、ラスボスの衣装もルチャリブレの出来損ないみたいでかなりイマイチです。
このドラマは「渡り鳥シリーズ」をベースにしていると書きましたが、「渡り鳥シリーズ」って主人公だけはいつも同じですが、シリーズ同士はまったく別の世界でつながっておらず、1回1回リセットされます。(主人公の滝伸次を好きになる女性は朝丘ルリ子が毎回別の名前で登場、また敵役で最後に主人公に味方するのは宍戸錠が同じく毎回別の名前で登場。)それがズバットにも持ち込まれて、大体早川健は戦っている相手がすべてダッカーという上部組織の暴力組織であることを31話まで認識しておらず、一方ダッカーの方も毎回早川とズバットの登場に「お前は誰だ!」とかやっています。