本日のNHK杯戦の囲碁は黒番が本木克弥8段、白番が志田達哉7段です。今期のNHK杯戦も本局を入れて後5局です。布石はタスキ型の左辺がケンカ小目という懐かしさのある進行です。しかし左下隅は白が付けたのに跳ねて白が引いた後、カケツガないで2間に開いてという最新の定石です。しかしその後白が2線に置いていってという手順の後が少し違い、白は左辺で多少の地を取りましたが、黒は後手ではあるものの、白の2子+2子を取った姿は非常に厚く黒の有利な分かれだったと思います。その後上辺から白が右上隅にかかったり、黒が下辺を広げたりしました。下辺は40目近くあり、普通は何か入っていく手段を検討しますが、志田7段は白も各所で地を持っており、遅れていないという判断のようです。上辺のかかった白を挟んでいた黒へ白が攻めを見せ、黒が中央に飛んだ後、白は左辺の黒に2線のノゾキを打ち、黒地削減とあわよくば左上隅にかかった黒への攻めを狙いました。黒は覗かれた所を継がずに捨て石気味に打っていましたが、そこの折衝で黒が白1子をアタリにしたのに白は延びずに左辺を取り切り、黒のポン抜きを許しました。このポン抜きは上辺の黒への支援になっており、そうなると右上隅からの白が狙われる可能性もあり、黒が打ちやすい感じでした。しかしその後黒が上辺の白に打ち込んで行きましたが、白は非勢を意識してその黒にかけて打つという最強の手段を選びました。それに対して黒は右側の白に押しを2回打ち、その後かけられた黒を動き出しました(写真の局面)。しかし黒には何かの誤算があり、結局この動き出した黒は攻め取りながら取られてしまいました。一応黒は締め付けることは出来ますがそれがほとんどダメみたいな所でうれしくありませんでした。こうなると最初右側の白を2回押したのが下辺の黒地を減らすことになっており、ここではっきり白が優勢になりました。その後黒はヨセで頑張りましたがコミを出せず、白の中押し勝ちになりました。志田7段はベスト4進出です。