「古関メロディー カバー・コレクション」というのを買って聴きました。文字通り、オリジナルの歌手以外のカバーです。都はるみの「船頭可愛や」とか藍川由美のは既に持っていて聴いています。良かった方でいくと、舟木一夫の「高原列車は行く」と「夢淡き東京」。舟木一夫ってある意味ちょっと神がかったような歌い方をする人ですが、古関メロディーとはマッチしていると思います。石川さゆりの「君の名は」もさすがに上手いですし、伊藤咲子の「黒百合の歌」も私はオリジナルの方が好きですが、こういう解釈もあってもいいかと思います。お千代さんの「愛国の花」もいいと思います。
それに対して最悪なのは新沼謙治の「イヨマンテの夜」。何と、冒頭の「アーホイヨー」以下の部分をまったく歌っていません。ここは歌に自信がある人なら絶対に歌いたくなる所で、それを飛ばすなんて信じられませんし、それ以下の部分もきわめて平凡です。また「若鷲の歌」(松方弘樹)、「暁に祈る」(杉良太郎)、「露営の歌」(村田英雄)の軍事歌謡は、何というか当時の雰囲気を無視した1960年代の大平洋戦争回顧ブームの産物という感じがしてあまり好きになれません。
八代亜紀の「フランチェスカの鐘」は、元々何だか面倒くさいので恋人と別れたという元の歌の意味では間違っていないのでしょうが、軽い歌い方で二葉あき子の格調には遠く及ばないです。
美空ひばりは2曲入っていますが、「とんがり帽子」はまったく歌と歌い方が合っていません。おそらく「東京キッド」などの類推から歌ったのかもしれませんが、美空ひばりの技巧的な歌い方は古関メロディーとは合いません。このCDには入っていませんが、「船頭可愛や」も同じです。