本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が本木克弥8段、白番が佐田篤史7段の対戦です。黒が下辺に展開して地模様を作ったのに白が左下隅への渡りを見ながら2線に置いて侵略を図ったのに、黒がカウンターで左下隅三々に入って、結局白の下辺の石は渡れず、競い合いになりました。その競い合いの中、白が黒の右下隅にプレッシャーをかけた結果、黒が裂かれ形で突き抜かれた格好になり右下隅を単独で活きなければならなくなりました。この時の白の踏み込みがやり過ぎで、黒は先手で活きました。これで黒はピンチを脱し、足早に左辺に展開出来て、黒の打ちやすい碁になりました。その後白は右辺を大きく囲いましたが、黒も中央の白3子を切り離すことが出来て、黒が優勢を維持しました。更に白は左下隅から延びる石に眼が無く、劫がらみで黒に攻められました。特に白が中央で取られていた白1子を助ける劫立てを打ったのに黒が受けずに下に延びて白の左下隅と中央を切り離したのが機敏でした。このため白は左下隅の劫を一手で解消出来ない一手ヨセコウになりました。劫材は黒が多く、右下隅で黒が白4子を取って得をしてなお劫が続くという局面で白の投了となりました。今回思ったのは、AIの形勢判断は序盤のは当てにならないと言うことです。AIは決して神の次元には到達していません。以前も書きましたが、AIは複雑な戦いは避ける傾向にあります。これはアルゴリズムを考えれば、読み切れない複雑なことになる手より、簡便な打ち方の方が限られた時間の中では上位に来ると言うことです。これでベスト8が出揃いました。